株入門

情報を仕入れて分析する!~初心者が株で儲けるために必要なこと

絶対儲かる株を教えてください!
いちろう

これが分かれば苦労はしないでしょう。

投資全般に言えることですが、100%確実に儲かる株など存在しないのです。

だったら、儲かってる投資家も適当に銘柄を選んでるのかと言えば、それは違います。値上がりする株には上がるだけの根拠があるのです。

勝てる投資家になるには、ファンダメンタル分析やテクニカル分析を使って、様々な角度から分析を行うことが何より大切です。

インターネットが普及した近年の株取引では、初心者でも容易に情報収集が出来るようになりました。

しかし、情報は仕入れるだけでは役には立ちません。仕入れた情報を吟味し、分析したうえで取引にどう生かすかがポイントです

本記事では、情報を仕入れる方法、分析を行う方法を簡潔・明瞭に解説しています。

それでは本文へどうぞ!

さんしろう
情報も生鮮食品も鮮度が命だよ!

生きた情報を掴もう

情報は生ものと言いますが、仕入れた情報を有効活用するためには、情報の真偽はもちろん、鮮度が求められます。

投資家は、材料と呼ばれる株価に影響を与えるニュースに敏感に反応し、誰もが驚くような材料であるほどサプライズとなり、市場の注目度・期待度は一気に高まります。

材料には、業績の上方修正・株式分割・業務提携・新製品の発売・レーティング引き上げなどがありますが、全ての材料が好材料となる訳ではありません。

期待感が先行して株価が既に動いていれば、織り込み済みと判断されて株価が反応しないこともあります。

逆に好材料出尽くしと判断されて、売り注文が先行する場合もあるでしょう。

また、個別銘柄の情報のみならず、新聞・テレビ等で世界情勢や経済動向に目を向けることも必要です。

木も見て森も見ることが大切なのです。昨今の世界金融危機のような100年に一度と言われる大波に飲まれては成す術もありませんが、影響を受けていない業種・銘柄も存在しています。

株式市場で勝ち抜くには、取捨選択で情報を選別し、変化の兆しをいち早く読み解く力が問われます。

情報を生かすも殺すもあなた次第です。ニュースを受けて株価はどう動いたのか?常に分析・研究を怠らないようにしましょう。

板情報で方向性を探る

板情報とは、どの価格帯にいくらの注文が入っているのかを示した情報のことです。

板を見れば、その銘柄の売りたい値段・買いたい値段と数量が一目で分るようになっています。

株取引になくてはならない必須のツールで、板の状況から株価が目先どう動くのか、売り手と買い手のどちらが優勢かを判断し、指値を決定するのに役立ちます。

表示する複数気配値は東証で売買各10本気配表示となっています。下図は、ある日のソフトバンクグループ(東1:9984)の板情報です。

編集の都合で上下5本気配値に変えてあります。本来は上下10本気配表示です

現在値が8.058円として100株買おうとするならば、8,070円に買い注文を出せば約定しやすいでしょう。

8,057円に買い注文を出せば、約定するのは先に注文が出ている5,700株が消化(成立または取消)した後になります。

売る場合も同様で、8,057円に売り注文を出せば約定しやすいし、8,070円で売るならば、先に注文が出ている26,200株が約定した後となります。

板情報はリアルタイムで更新するので状況は刻一刻と変化します。

また、成行注文は数量に含まれていません。

どちらかが優勢に見えても、成行注文が入ることで板の状況が一変してしまう可能性がありますので注意が必要です。

仕手株に気をつけよう

仕手株とは、短期間に利益を得るため投機を目的とした投資家が、売買対象とする銘柄のことをいいます。

仕手株は、故意に特定の銘柄の価格を操作しようとする、仕手筋と呼ばれる人たちが手掛けます。

仕手の名前は、日本の伝統芸能である能の「シテ方」に由来するとされます。

能はシテ方(主人公)が中心となって行われるため、大量の資金で株価を操ろうとする主役が存在する株のことを仕手株と呼ぶわけです。

仕手の仕掛け人を仕手本尊と呼び、密かに株集め(仕込み)をした後に他の投資家に買わせるように仕向けます。

そうして他の投資家が買い始めたら、高値で売り抜けるのが仕手の手口です。

投資顧問の極秘情報、株式掲示板での買い煽り、株価のつり上げなど、様々な手段を用いて投資家の相乗りの買い(提灯)を誘うことで、買いが買いを呼ぶ急騰相場を演出します。

仕手株は上手く流れに乗れば短期で儲けられるという利点はありますが、失敗すれば大損確定です。

株を始めて日が浅いうちや負けが込んでるときなど、甘い蜜に心揺れるのも心情的に理解できますが、投機で資産を築くのは並大抵のことではありません。

仕掛けた仕手筋でも失敗することがあるのが仕手株の怖さです。

近年では大規模な仕手戦も珍しく、資金の逃げ足も速いので売買のタイミングを計るのも容易ではありません。

ある程度のリスクは許容しなければ投資は行えませんが、みすみす落とし穴に嵌るのは無謀というものです。

大切な資金を守るためにも、初心者はもちろん、経験者であっても仕手株には手を出さないようにしましょう。

豆知識~インサイダー取引

インサイダー取引とは、企業の内部者(会社関係者)が市場に影響を与える重大な内容(重要事実)を事前に知りながら、その情報が公表される前に株式等の売買を行うことを言います。

不正な取引であるインサイダー取引が放置されれば、一般の投資家との間で不公平が生じ、市場の信頼も損なわれてしまいます。

ですので、証券市場の健全性・公平性を保つためインサイダー取引は金融商品取引法第166条において規制され、罰則規定が設けられています。

違反すれば、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科され、得た財産(利益ではなく売却金額全額)も没収されてしまいます。

アメリカでは1934年に設立された連邦政府の機関であるSEC(証券取引委員会)によって厳しい監督・監視が行われてきました。

日本でインサイダー取引の規制が強化されたのは1987年のタテホ化学工業事件を契機に、罰則規定を設けた改正証券取引法が施行された1989年4月以降のことです。

また、日本版SECである証券取引等監視委員会が旧大蔵省(現金融庁)に設置されたのは1992年になってからです。

株は情報戦と言いますが、日本はインサイダー天国と揶揄され、昔は「いち早く情報を仕入れるために企業の役員宅に盗聴器を仕掛けた」なんて話もあるぐらいです。

近年、日本でもインサイダー取引で逮捕されるケースが増えています。

しかし、1986年にアメリカで逮捕された投資家アイヴァン・ボウスキーをモデルとした、オリバー・ストーン監督の映画「ウォール街」が公開されたのが1987年の事です。

日本のインサイダー取引規制における認識・対応が如何に遅れていたかが分かります。

日本最初のインサイダー取引事件

1987年のタテホ化学工業事件は、「債券先物取引で約286億円もの損失を出し、債務超過に陥った」と同社が発表する前に、同社の役員や取引金融機関(阪神相互銀行・日興證券)がタテホ化学工業の株を売却したケースです。

当時の大蔵省と大阪証券取引所は調査を行ったものの、罰則を規定する法律もなく、道義的責任しか問われず幕引きとなりました。

インサイダー取引事件として初めて摘発されたのは、第三者割当増資を巡る日新汽船事件(1990年4月摘発)です。

第三者割当先である千代田ファイナンス社長が、知人名義で日新汽船株を公表前に7,000株購入したケースでした。

大蔵省と東京証券取引所は該当する取引を特定できませんでしたが、検察庁による独自調査により罰金20万円の略式命令を受けて、違反第1号となっています。

テクニカル分析

今のトレンドを知ろう

トレンド(trend)は、傾向、流行と言う意味ですが、株式投資で耳にするトレンドとは、相場の大きな流れ、方向性を指して使われます。

株価はチャートを見ると、ジグザグに上下動しながら一定方向に向う動きをしており、長期的な視点で見れば「上昇に向かってる」「下降に向かってる」と言った、大まかな方向性が見えてきます。

トレンドの種類には、上昇トレンド、下降トレンド、横ばいの3つがあり、ローソク足チャートに「トレンドライン」という補助線を引くことで、今のトレンドを知ることが出来ます。

上昇トレンドであれば安値と安値を結んだ線(下値支持線)、下降トレンドであれば高値と高値を結んだ線(上値抵抗線)がトレンドラインとなります。

トレンドには必ず転換点があり、株価がトレンドラインを抜けるとトレンドが転換する可能性が高く、売り場、買い場の適切なタイミングを計ることが出来ます。

リスク管理の観点からも、トレンドを無視した売買は絶対すべきではありません。

トレンドラインはテクニカル分析における基本的な指標ですので、必ず覚えておくようにしましょう。

チャートで分析する

チャートとは、過去の株価の動きをグラフにしたもので罫線とも呼ばれます。

チャートの種類には、とめ足、棒足、ローソク足などありますが、日本で最もよく使われるポピュラーなチャートが「ローソク足」です。

ローソク足は、始値、高値、安値、終値の4つの値段(四本値)を時系列に沿って棒状の図形で表します。

始値より終値が高いと白いローソクの陽線、終値より始値が高いと黒いローソクの陰線となります。

表示する期間は、分足、日足、週足、月足、年足とあり、一般的には「移動平均線」と一緒に描かれ、過去の株価の動きから将来のトレンド(傾向)を予測するテクニカル分析で使わます。

それではチャートを見るときに必要となってくる、ローソク足・移動平均線・トレンドライン・出来高とは何かを、簡単に説明していきましょう。

ローソク足

1本の足「始値」「高値」「安値」「終値」の4つの値段を表し、これを4本値と呼びます。

終値が始値より高いと白抜き表示(陽線)で、終値が始値より安いと黒塗り表示(陰線)とし、「安値」と「高値」は上下に突き出した線(ヒゲ)で表示します。

上についている線を「上ヒゲ」、下についている線を「下ヒゲ」と言い、先端部分は、下ヒゲなら「安値」、上ヒゲなら「高値」を示します。

移動平均線

移動平均線とは、過去の株価の終値の平均値を折れ線グラフにしたもので、期間の取り方により「短期線」「中期線」「長期線」で表します。

アメリカのチャート分析家、J・E・グランビルが相場分析に利用したことで広まり、今では多くの投資家に使われるポピュラーなテクニカル指標です。

彼の考案した「グランビルの法則」はあまりにも有名で、株価の方向性や転換点を予測するのに使われています。

トレンドライン

トレンドライン(傾向線)とは、ある一定方向に動く2つ以上の値を結んだ線で株価の方向性を見るのに使います。

上昇トレンドの場合には安値と安値を直線(下値支持線)で結び、下降トレンドの場合は高値と高値(上値抵抗線)を結びます。

単独で使用するのではなく、ローソク足チャートに「トレンドライン」という補助線を引くことで、今のトレンドを知ることが出来ます。

出来高

出来高とは、市場においてその日に売買が成立した株式の数量のことで、人気を測るバロメーターとして使われます。

出来高が増えて株価も上昇している局面では「強気」と判断し、出来高が増加して株価が下落していれば「弱気」と見て取れます。

「出来高は株価に先行する」と言う言葉がありますが、株価の値動きと同じくらい出来高を重要視する投資家もおり、通常はローソク足と組み合わせて使われます。

ファンダメンタル分析

決算書から分析する

決算書とは、企業の一定期間の経営成績や財務状態を示した書類で、企業の成績表とも言えるものです。

正式には金融商品取引法では「財務諸表」、会社法では「計算書類」のことを指しています。

決算書の役割は、利害関係者(株主・取引先・金融機関etc)に会社の正しい状況を提供することにあります。

ここでは金融商品取引法により作成・公表が義務付けられている財務諸表について説明していきたいと思います。

財務諸表を理解することは、ファンダメンタル分析を行う上で重要な要素です。

本来、財務諸表には貸借対照表の純資産の変動状況を表す「株主資本等変動計算書(S/S)」も含まれますが、ここでは除外します。

まずは「財務三表」と呼ばれる「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」について学んでいきましょう。

損益計算書 ‐ Profit and Loss Statement

損益計算書(P/L)は、企業が一定の期間の収益から費用を差し引いて得た利益を詳しく表す計算書のことで、その期間にいくら儲かったかを発生原因ごとに示したものです。

「営業利益」は純粋に本業で得た利益を示し、「経常利益」は本業以外で発生した損益を含めた実質的な利益を示します。

「税引前当期利益」では営業以外で臨時的に発生した特別損益を含めた最終的な利益を示し、「当期純利益」は法人税などの税金を支払って最終的に残った利益を示しています。

この損益計算書(P/L)で算出された利益を基に、1株当たりの当期純利益(EPS)、株主資本利益率(ROE)、株価収益率(PER)を導き出すことができます。

貸借対照表 ‐ Balance sheet

貸借対照表(B/S)は、企業の一定の期間における財政状態を明らかにする「資産」「負債」「資本」を記載した報告書のことで、勘定式と報告式の2つの様式があります。

勘定式では、借方側(左側)に資産を、貸方側(右側)に負債及び資本を記載しており、会社法で公表が義務づけられている『決算公告』ではこの様式が使われます。

報告式は企業会計原則による様式で、資産、負債及び資本の順に上から記載し、『決算短信』に使われています。

キャッシュフロー計算書 ‐ Cash flow statement

キャッシュフロー計算書(C/F)は、一定の期間の資金の流入及び流出を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分して表示します。

キャッシュフロー計算書を見ることでキャッシュの発生源泉が分かり、企業の価値を正しく判断できるわけです。

「営業活動によるキャッシュフロー」は営業活動で得たキャッシュを示し、「投資活動によるキャッシュフロー」は、定期預金の預入れや払戻し、有価証券の取得・売却、固定資産の取得・売却などによるキャッシュを示します。

「財務活動によるキャッシュフロー」は、借入れによる収入や返済による支出などによるものです。

上から順に「プラス、マイナス、マイナス」が一番の理想の形で、営業CFのマイナスが続く会社は注意が必要です。

会社四季報から分析する

会社四季報とは、東洋経済新報社が年4回発行している情報ハンドブックで、全上場会社約3,800社の正確なデータと入念な調査に基づく最新情報を提供しています。

最近の近況に関するコメント、株主構成、財務データ、財務指標、業績推移、今期・来期の業績予想などが掲載されています。

投資家が情報収集に利用する以外に、企業調査、マーケティング、就職活動の情報収集などでも幅広く活用されています。

中でも一番のポイントは、業績欄の「業績2期予想」です。「予」となっている数値は東洋経済独自の業績予想です。

企業寄りでも投資家寄りでもなく、中立的・客観的なスタンダードな業績予想として最も信頼されており、プロの投資家からも高い評価を受けています。

今では「投資家のバイブル」と謳われ、ファンダメンタル分析には欠かすことのできない会社四季報ですが、書籍版2,300円(税込)と、多くのデータが検索できるCD-ROM版7,700円(税込)が用意されています。

年4回の刊行ですのでそれなりに出費も嵩みますが、基本的な企業データに関しては、多くの証券会社で口座を開設していれば無料で閲覧することが可能となっています。

「タマゴボーロ」や「麦ふぁ~」などの菓子を製造・販売する竹田製菓の創業者で、日本一の個人投資家と称された竹田和平氏(故人)は、以下のように述べるほど、会社四季報に絶大の信頼を寄せていました。

「情報源は会社四季報だけなんです。四季報が間違えたら、ぼくも間違えると。そういう覚悟さえ持っていればいいんですよ」

もちろん得られる情報が必ず好結果へと繋がるわけではありませんが、自分自身で様々な情報を収集・分析し、大切な資産を投資出来るか否か、十分に調べる習慣を身につけることは大切です。

投資に対する正しい姿勢を養う意味でも、会社四季報は非常に役立つ存在となるでしょう。

会社四季報の見るポイント

会社四季報の読み方に関する書籍も多数出版されており、見るべきポイントはいくつかありますが、特に重要なのは「コメント欄」「業績」部分です。

会社四季報のコメント欄は前半と後半に分かれており、前半部分は今期の業績見通しを解説した業績記事です。

後半部分には中期展望や課題、最新トピックスなどの材料記事が書かれています。

また、前半の業績記事には冒頭に「最高益」「絶好調」等の見出しが付けられていて、コメント欄で最も重要な部分と言っても過言ではありません。

業績欄には、過去数期の業績の推移と東洋経済独自の業績2期予想が掲載されています。

すべての数字が年々増加している企業が理想的ですが、企業を取り巻く環境は刻一刻と変化していますので、会社発表予想や前号の数字と比較しながら読むことが大切です。

慣れない最初うちは上記2点だけのチェックでもいいですが、余裕があれば「株主」や「キャッシュフロー」も大事な項目ですので確認するといいでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

本記事は、情報を仕入れて分析する方法ついてまとめました。

文字の羅列で理解しにくいところもあったかと思います。本格的にテクニカル分析を学びたい方は、書籍等を利用するのもいいでしょう。

ですが、ファンダメンタル分析なら誰でも今すぐ始めることができます。

ファンダメンタルだけで勝てるほど株の世界は甘くはないですが、情報は仕入れて吟味し、分析することが大事なのです。

焦らずに、まずは情報を仕入れることから始めてみましょう。

  • この記事を書いた人

さんしろう

投資歴20年の50オヤジ。過去に複数サイトの運営経験あり。 現在サラリーマン生活を送りながら隠居生活へ向かって奮闘中!

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