株入門

信用取引とは何だろう?現物取引にはない魅力とリスク

追証?委託保証金?そもそも信用取引って何ですか?
ふみ

株式投資において、信用取引という言葉を聞いたことはないでしょうか?

聞いた事あるけどというものか分からない、通常の株取引きとはどのように違うのかわからないという人も多いでしょう。

これから株を始めようと思っている人、信用取引を始める初心者は特に、通常の取引との違いをしっかりと把握しておきたいところです。

本記事では、簡潔・明瞭をモットーに信用取引の特徴について解説していきます。

本記事の内容

  • 信用取引の種類について
  • 信用取引のメリットを知る
  • 信用取引のデメリットを知る
さんしろう
信用取引は魅力的だけどリスクもあるよ!

 

特に信用取引ならではのリスクはしっかりと覚えましょう。それでは本文へどうぞ!

信用取引とは何だろう

信用取引とは、証券会社に一定の委託保証金を担保に差し出すことで、資金や株券を証券会社から借りて売買をする取引を言います。

金融商品取引法では「金融商品取引業者が顧客に信用を供与して行う有価証券の売買その他の取引をいう」と定義されています。

通常の株取引である現物取引と違い、担保を差し出すことで自己資金の約3.3倍の取引を可能とします。

高いレバレッジ効果や、保有していない株券の売付けを可能とする信用売りで、上げ局面・下げ局面どちらに於いても投資機会を逃さず投資効率の最大化を図れるのが、現物取引にはない信用取引の大きな特徴です。

信用取引の種類

信用取引には制度信用取引般信用取引の2種類があり、取引毎に何れかを選択することになります。

制度信用取引では、取扱銘柄・金利・品貸料・弁済期限等が証券取引所または日本証券業協会の規則によって一律に定められています。

一般信用取引では、投資家と証券会社との間での合意で、これらの事項を自由に決定することができ、制度信用取引と違い反対売買までの期限がないのが特徴です。

 

う~ん。分かったような分からないような…
ふみ
ななみ
分かりやすく例をあげて説明しますね

信用取引の具体的なイメージ

ひとつの例をあげると、ある株式銘柄の株価が3,000円だったとしましょう。

東証一部銘柄の場合、最低単元株数は100株となるので、現物を購入したい場合には30万円を用意しなければなりません。

しかし信用取引の場合には、評価額の約3.3倍まで取引をすることができるので、10万円ほどの金額を証券会社に預けることで、その銘柄の取引ができるのです。

なぜこのような取引が可能かというと、通常の取引(現物取引)の場合には、株式を購入するために購入代金の全額を用意しなければなりません。

また株式を売却しようと思った場合には、その全ての株式を保有しておかなければならないのです。

しかしこれでは実際に市場に参加できる投資家は限られてしまい、少しの売買高でも大きな株価の変動がみられる可能性も考えられます。

信用取引は、資金に余裕がなくても手持ちの資金を預けることで、多くの投資家が市場に参加できるようになり、これにより公正な株価形成にも大きく寄与しています。

信用買いと信用売り

実際に信用取引を行う場合には、二つの方法を選ぶことになります。一つが信用買いと呼ばれるもの、もう一つが信用売りと呼ばれるものです。

信用買い(新規買建)

信用買いは新規買建とも呼んでいますが、証券会社から必要な買い付け代金を借りて取引をします。

証券会社から借りているため必ず返済をする必要がありますが、その代金を返済する方法にも二つの方法があります。

一つが株式を売却して行う方法(反対売買)、もう一つが買い付けた代金を支払い、買い付けた株式を保有する方法(現物決済)です。

反対売買は「売り返済」と呼ばれ、売却したときに発生する利益や損失から、委託手数料や金利を払い、残った分が利益(損失)となります。

現物決済は「現引き」と呼ばれ、買建た代金を支払い、買い付けた株式を現物株として保有し直すことです。要は、現物取引に切り替えるわけで一般的ではありません。

信用売り(新規売建)

信用売りは新規売建と呼ばれ、証券会社から売り付けに必要な株式を借りて取引をします。

返済方法は、「買い返済」と呼ばれる反対売買と、「現渡し」と呼ばれる現物決済があります。

買い返済は、買い戻した際に発生する利益や損失から、委託手数料や貸株料、逆日歩を払い、残った分が利益或いは損失となります。

現渡しは、借りた株式を証券会社へ返済することで、売付代金を受け取る方法です。こちらも一般的ではありませんが、「つなぎ売り」をする際には有効です。

信用取引のメリット

信用取引を行うことには二つのメリットがあります。その一つが持っている資金以上の取引きが行えることです。

証券会社に担保を預けることで、約3.3倍の評価額までを取引きできるようになります。

自分が持っている資金が少なくても、株価の高い銘柄が狙えたり、より多くの株式を保有することができるのです。

また、株価が下がっている局面でも利益を生み出すことができるのも、大きなメリットと言えるでしょう。

通常の取引(現物取引)の場合は、買い注文からしか入れません。

しかし信用売り(売建)の場合は、売り付け株式を証券会社から借りて売りから入ることで、株価が値下がりした時に買い戻すことで利益が発生します。

つまり株価の上昇時や下落時のどちらの局面でも利益を出せることになり、利益が狙えるチャンスが広がるのです。

信用取引のデメリット

信用取引は、レバレッジを効かせることで大きな利益が得られる反面、多額の損失が発生するリスクも有しています。

取引した銘柄に評価損が発生すれば、委託保証金率の低下を招きます。

証券会社の定める最低保証金維持率を下回ると、最低保証金維持率を回復するまでの追加保証金(追証)が発生します。

差入期限までに追加保証金(追証)の入金がなければ建玉は強制的に処分されてしまい、株価上昇で保証金維持率を回復した局面においても、追証の解消にはならず損失が確定します。

信用余力の上限で取引すれば利益も損失も約3,3倍です。

100万円の資金があったと仮定し1万円の株式を購入するとしましょう。

新規買建なら303万円を上限に買い付けることが可能ですので、購入した銘柄が5千円値上りすれば約150万円の利益が得られる計算です。

逆に値下がりした場合は大変です。現物取引なら50万円の損失で済むはずが信用取引だと約150万円の損失となり、投資元本を大きく割り込んでしまいます。

実際には強制決済されることでマイナスになるのは稀れですが、信用取引では取引の仕組みやリスクを十分理解した上で、現物取引以上の徹底したリスク管理が求められます。

追証には注意しよう

追証とは、追加で委託保証金を証券会社から求められることです。

信用取引では、保有する銘柄に含み損が出た場合、その全額が即時、委託保証金から差し引かれます。

現物取引では、取引を終了しなければ損失は確定しませんが、信用取引では含み損が出ているだけで委託保証金が減少します。

例えば、委託保証金を現金で100万円預けたとしましょう。この時の信用枠上限は300万円です。

上限枠いっぱいの信用買いをしたが、株価が急落し50万円の含み損が発生したとします。そうすると現在の委託保証金額は、100万-50万=50万円ということになります。

委託保証金維持率が20%の場合、300万円の信用枠を維持するには60万の委託保証金が必要なので、不足分の10万円を現金で入金しなければなりません。

ここで注意が必要なのは、損失を確定させない限り、翌日さらに株価が下がれば新たに追証を求められる点です。

最低委託保証金維持率を回復しない限り、追証は毎日でも発生するのです。

追証の支払い期限は、大抵は翌々営業日までです。もし指定日までに入金が無ければ、証券会社側で強制決裁されてしまいます。

さらに、信用取引停止などの厳しい処置が取られる場合もあります。

追証を防ぐには、信用限度枠いっぱいまで売買をしない、担保している株価の急落に影響を受けないよう現金を担保に利用するなどの対応を心掛けましょう。

まとめ

本記事は、信用取引についてザックリと説明しました。

信用取引は大きなメリットとリスクを併せ持った取引方法です。もちろん仕組みが理解できたからと言って、リスクがゼロになるわけではありません。

ですが、単純に利益が3倍になるからと安易に手を出すのは、ギャンブル(投機)と違いがありません。

委託保証金率いっぱいで取引をした場合、思惑が外れたら平静ではいられないのです。

私も経験済みですが、まさにパソコンの画面に釘付けです。それはもう今まで発揮したことないような驚異の集中力で、瞬きすら忘れます!(笑)

投資に希望的観測は厳禁です。冷静に、追証を発生させないように工夫を考えたり、心に余裕を持った取引を心掛けましょう。

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  • この記事を書いた人

さんしろう

投資歴20年の50オヤジ。過去に複数サイトの運営経験あり。 現在サラリーマン生活を送りながら隠居生活へ向かって奮闘中!

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