「株は怖いもの」
よく聞く話です。たしかに株取引で大きく資産を減らした人もいるでしょう。しかし良く考えてみてください。
金融商品はリスクがあるから大きな利益が得られるのです。株は怖いという負のイメージだけが先行し、株の仕組みすら理解していなければ損をするのは当然です。
そんな人は、株の怖さを知ることから始めてみるといいでしょう。
「幽霊は怖いですか?」と聞くと怖いと答える人は多くいるはずです。ですが「幽霊を見た事ありますか?」と聞けば、「はい」と答える割合は減るのではないでしょうか。
恐怖とは不安心理を増幅させるから生まれるのです。なぜ怖いのか?理由を明確に答えられる人は多くはないでしょう。株も同じです。
リスク(怖さ)をしっかりと理解し、自分のルールを守って取引すれば、怖れることはないと気付くはずです。
ですが本当に株は怖くはないのでしょうか?多くの株サイトや書籍等でも「リスクを理解すれば怖くない」と説明しています。
ですが、もっと怖さを強調したサイトがあってもいいのではないでしょうか?本記事は株式投資の本質と銘打って、違った角度から捉えた株の世界を描写しています。
一部偏見に満ちた個所もあるとは思いますが、参考程度にお読み下さい。
本当に株は儲かるの?
近年の株式市場は、ネット証券の出現が個人投資家に門戸を開き、株式投資は高利回りな資産運用法としての地位を確立している。
株に関する書籍や雑誌も数多く出版され、WEBでも投資に関する特集や成功談を目にした方も多いだろう。
「本当に株は儲かるの?」は、初心者なら誰もが抱く疑問点である。しかし、この低金利の時代に元本が何倍にもなる可能性を秘めた資産運用法は、株やFX、仮想通貨くらいだろう。
本来なら株式投資は元本が保証されないリスクもあり、賢明な人は躊躇するものだ。
私の周りにも、興味はあるけど参加するには勇気がないと言う人が数多く存在する。
知識が無いから敬遠する、逆に無限の可能性を求めて参加する、人それぞれ考え方は違い、誰も強制できるものではない。
昨今の様々なメディアで紹介される成功例や体験談が、市場への参加を容易に後押ししている事実はあっても、あくまで株式投資は自己責任が原則だ。
例え財産を失っても、騙されたは通用しない。
私は人に「株って本当に儲かるの?」と良く聞かれる。
「株は儲かるの?」と聞かれれば答えはYESだ。間違いなく儲かると断言する。だが、「誰もが儲かるの?」と聞かれれば答えはNOとなる。
誰かが儲けるためには、誰かが損をしなければならないのが勝負の世界の常である。株式市場も例外ではない。
そもそも株の理屈は単純だ。上がるか下がるかの2通りしか無く、表面的な確立は五分である。
そこに様々な要素が絡み合って形成されるのが株価であり、株価の行方は市場に参加する投資家たちの思惑に左右される。
決して参加者全員が勝つことは無く、株の世界は敗者なくして勝者は生まれない構造となっている。
株は株価の騰落を予想するゲームでなく、人の裏をかく心理ゲームなのだ。株の女神は非情なる勝者にしか微笑まない。
騙しも勝つための戦術なのだ。間接的であれ、人を騙す勇気を持つことが株で儲ける第一歩と心得よう。
株価が変動する訳とは
私の友人に株式投資を全く知らない男がいる。投資経験者や株について勉強をした人間ならば、少なからず株が上がる仕組みについては理解してるはずだ。
そもそも株価が変動しないことには、儲けることも損することもないのである。
彼は持ち前の好奇心からなのか、矢継ぎ早に私に質問をぶつけてくる。
「なんで株は儲かるの?」と聞かれ、「株価が上がるからだよ」と答える。すると間髪入れず、「なんで株価が上がるの?」と続く。
「そりゃ買いたい奴が多いからだよ」と答えるや否や、「なんで買いたい奴が多いの?」ってな具合だ。
まるで、子供の頃見たアニメ「一休さん」に出てくる、どちて坊やである。当然ながら彼に悪意はなく、初心者ならではの素朴な疑問からなのであろう。
とにかく彼には、株価が上下するのが不思議でならないそうだ。
本題に戻るが、株価の変動とは買い手と売り手が存在して初めて成り立つものである。
本来、株価とは企業の価値を値段で表したものであるが、株価の行方は需供バランスによって左右される。
株の世界では人気が最優先するのだ。人気があるから高く売れるし、高くても買おうと思うものである。
とかく株価は材料と呼ばれるものに過敏に反応する。
何を基準にサプライズを求めるかは人それぞれであるが、様々な思惑が交錯して株価は変動し、インパクトが強いほど上昇速度は加速する。
しかし、株の世界はシビアなものだ。思惑を利用し、自分が儲けるために罠を張る輩も存在する。
これが仕手と呼ばれるものだ。一般的に仕手は、故意に株価を吊り上げる上昇局面で活躍するが、下落局面であっても存在する。
限度を超えたやり方には問題あるが、いずれも人の心理を利用した立派な戦術である。
「鳴かぬなら、鳴かせてみせようホトトギス」
もし、豊臣秀吉が現代に生きていたならば、稀代の相場師として名を馳せたことだろう。
相場に潜む魔物の正体
「相場は魔物」そんな言葉を聞いた事はないだろうか。
相場の世界には、我々人間が決して足を踏み入れてはならない禁断の領域があるという。
相場の魔物は心を喰らう。踏み入るべからず!
先祖代々から、我が家に伝わる古い言い伝えだ。野心的であった私の父は、禁を破り命を落とした。
まだ幼かった私は事の真相を知らず、ただ父の命を奪った魔物を呪った。
「相場という憎い魔物を倒すんだ」
そう言って、何度も母を困らせたそうだ。そんな母も私が20歳のときに亡くなった。
父の死後、相場の話には一切触れない母であったが、亡くなる直前になって真相を話してくれた。
「お前の父さんの命を奪った魔物は、株式相場にいるよ・・・」
そこから、私の魔物探しの旅は始まった・・・
これは、隠された古い書物に記されてあったものだ。
もちろん現代に、魔物などという非現実的なものがいるはずもない。
それでは魔物の正体とは一体何なのか?書物の最後には、こう記してある。
長年、魔物を捜し求めたがとうとう出会うことは出来なかった。株の失敗で財産をすべて失った私は、あの日不思議な老婆に出会う。
そして老婆は私に魔法の鏡を手渡し、こう言ったのだ。
「夜中にこの鏡を見つめれば、お前の捜し求めた魔物に出会うことが出来るであろう・・」
老婆に言われた通り夜中に鏡を覗くと、そこに写し出されたのは自分自身。すっかり老け込んだ哀れな自分の姿であった...
お分かりいただけただろうか?
魔物の正体とは、自分自身の欲である。強すぎる欲求は正常な判断を狂わせ、自身を窮地に追い込む。
誰でも欲をかいて失敗した経験が、1つや2つはあるであろう。
しかし、株を始める最大の目的が値上がり益の追求である以上、欲がなければ株式投資をする意味を失ってしまう。
欲とは人間の本能であり罪ではない。強すぎる欲は我が身を滅ぼすが、人間である以上は共存しなければならない存在だ。
だからこそ、心に潜む見えない魔物をコントロールすることが、乱世と呼ぶに相応しい株式相場を勝ち抜く秘訣なのだと心得よう。
株はゼロサムゲーム
ゼロサムゲームという言葉をご存知だろうか。大辞林にこう書いてある。
ゲームの理論で、参加者それぞれの選択する行動が何であれ、各参加者の得失点の総和がゼロになるゲーム。零和ゲーム。
引用:大辞林(第三版:p.147848)
勝つか負けるかしか存在せず、全体として新たな価値は生み出さないもの。それがゼロサムゲームだ。
一見、不条理にも思えるが、これが私たちが生きる世界の倫理である。私たちは生まれながらに、ゼロサムゲームの参加者なのだ。
貴方は考えた事があるだろうか?平和という名の下に、戦争で死んでいく命があることを。
貴方は気にした事があるだろうか?洒落たレストランで食事をしている瞬間に、飢えで死んでいく子供たちがいることを。
現実とは残酷なものだ。しかし滅びゆく命があれば生まれる命もある。
世の中には光と影が存在し、この不平等に思える倫理こそが世界の調和を保っている。
本来、私たちは誰もが幸せになれる権利を有している。それが機会の平等だ。しかし、人生そのものがゼロサムゲームであったならどうだろう?
誰かが幸せになるためには、誰かが不幸にならなければ、ゼロサムゲームの理論は成り立たない。
ゼロサムゲームはバトルロイヤルであり、ハンデという概念は存在しない。
しかし、スタートラインこそ平等とは言えないが誰もが存在することで勝利のチャンスが与えられている。
これが理論に基づく平等の本質なのである。明確なルールも存在せず、決められた数の幸せを奪い合うゲーム。
人間、それぞれ幸せの感じ方は違うだろうが、誰もが幸せになりたいと願うはず。
そんな人として当然の権利も、勝者にしか与えられない非情なゲーム。勝つ為に私たちは、どんな行動を取るだろう?
決して勝つ為に人を騙せと声高に提唱する訳ではない。
例え、勝つ為の最善が人を欺くことであったとしても、公然と正当化するつもりもない。
人は誰もが、勝ちたい儲けたいという欲を持ってゲームに参加する。ただ、それを刺激するだけで良いのだ。
ホイラーの法則に、「ステーキを売るなシズルを売れ!」という言葉がある。
セールスを経験した人間ならば一度は聞いた言葉だろう。決して綺麗事ばかりでは通用しない。
勝つ為の真の最善とは、自己責任の原則を盾に人の心理を操ることにあると考えてやまない。
まとめ
いかがだったでしょうか?本記事は趣向を変えて、偏見に満ちた株の世界を紹介しました。
ひとつ勘違いして欲しくないのは、株投資は怖いものだから近寄るなと言っているわけではありません。
公然と「人を騙せ」「狡猾であれ」と言うつもりもありません。
共感して頂く必要はありませんが、株の世界は甘くないというのだけは心に留めておいてください。
どの世界でもそうですが儲けるのは簡単ではないのです。ましてプロが巣くう世界で初心者が初めから立ち回れる訳もありません。
ですが誰もが最初は初心者です。職業トレーダーであっても、億を稼ぐ個人トレーダーであっても例外はありません。
チャンスは平等なのです。気楽な気持ちで株を楽しみましょう。明日の勝者はあなたです!